火災保険の申請時には罹災証明書の提出を求められます。
しかし罹災証明書がどのような書類か、どのように取得するかご存じでしょうか?
今回は、
- 罹災証明書とは?
- 罹災証明書の申請期限
- 発行に必要なもの
について説明します。
火災保険の申請に罹災証明書は必要?
火災保険の申請には、罹災証明書が必要になります。
※保険会社や担当によってはなしでもよい場合がある。
罹災証明書がなければ各種の支援を受けられなかったり、
助成金や保険金の請求が難しくなります。
罹災証明書とは?
罹災証明書とは住家が損壊した場合、その被害の程度を公的に証明した書類になります。
発行の対象になるのは災害対策基本法に定められた、
- 暴風
- 豪雨
- 洪水
- 地震
- 火山噴火
- 大規模な火事や爆発
など国や自治体が指定した災害で住家が損壊した場合です。
指定する災害は自治体によって異なる場合があるので、申請前に確認しておきましょう。
▼被害程度の表記方法▼
住家の被害程度は一定の認定基準により、以下のように表記されます。
区分 | 認定基準 |
全壊(又は全焼) | 住家の損壊が70%以上、経済的損害が50%以上の |
大規模半壊 | 住家の損壊が50%以上70%未満、経済的損害が40%以上50%未満 |
半壊(又は半焼) | 住家の損壊が20%以上50%未満、経済的損害が20%以上40%未満 |
一部損壊 | 住家の損壊、経済的損害が共に20%未満の場合 |
床上浸水 | 床より上が浸水した場合 |
床下浸水 | 床上に至らない浸水 |
上記の規定を満たす損傷があったときに罹災証明書が認定されます。
▼人的被害の表記方法▼
ほとんどは住家のみですが、一部の自治体では人的被害も対象にしている場合があります。
人的被害も対象にしている場合は、以下のような認定基準で表記されます。
区分 | 認定基準 |
死者 | 死亡して死体を確認 |
行方不明 | 所在不明で死亡の疑いがある |
重症 | 1か月以上の治療が必要と見込まれる |
軽傷 | 1か月未満の治療で回復が見込まれる |
人的被害に関しては火災保険が適用される場合はほとんどありませんので、頭の片隅に置いておいてください。
▼農業用施設・設備の被害▼
農業用施設・設備の被害に対して、農業用罹災証明書を発行して支援制度を設ける自治体もあります。
農業用罹災証明書を発行すると、農業協同組合や日本政策金融公庫の融資を受けられます。
発行までの流れは通常の罹災証明書と同じになります。
※こちらの罹災証明書も火災保険が適用になることはありません。
罹災届出証明書との違い
罹災届出証明書とは、罹災証明書の発行申請の完了を証明する書類になります。
自治体によっては被災届出証明書と呼びますが、同じ書類になります。
▼活用のメリット▼
罹災届出証明書は即日に無料で発行できるので、保険金請求などの早急な支援申し込みが可能になります。
急を要する支援が必要な場合は罹災届出証明書を活用しましょう。
ただし後日発行される罹災証明書が必要になる場合もあります。
罹災証明書の申請期限
罹災証明書の申請期限は災害発生時から1か月~6か月前後と、自治体によってまちまちです。
被害を受けてから3か月と設定している自治体が多いですが災害の規模により、
期限が延長する可能性もあります。
自治体のホームページや市政だよりに記載されているので、申請前に確認しておきましょう。
やむを得ない事情で救済措置がない限り、
申請期限を過ぎると罹災証明書の発行ができなくなるので注意して下さい。
罹災証明書発行に必要なもの
罹災証明書を発行するには以下の物が必要になります。
- 身分証明書
- 被害状況が確認できる写真
- 罹災証明交付申請書
▼身分証明書▼
運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど写真付きの証明書、健康保険証など。
本人確認書類であれば大丈夫です。
もし用意できない場合は、市区町村の担当部署に相談して下さい。
▼被害状況が確認できる写真▼
被害を受けた住家の状況写真を撮影した物になります。
被害を受けた箇所と物件の全体像が映っていると、わかりやすくて認定を受けやすいです。
被災した住所がわかる地図があると、より親切です。
▼罹災証明交付申請書▼
市区町村の担当部署に備えてありますが、自治体のホームページからダウンロードも可能です。
自治体により多少異なりますが記載するのは主に以下の項目です。
- 申請者住所
- 申請者氏名
- 罹災場所
- 罹災理由
- 提出先など
自治体ごとに書式が変わってくるので、申請時にはホームページなどで確認して下さい。
必要書類を揃えても周りの家屋で同じ災害で被害を受けていない場合は、罹災証明書の申請を却下されてしまうこともございます。
【手順】罹災証明書取得までの流れ
罹災証明書を取得するまではどのような流れなのでしょうか?
ここでは罹災証明書を取得するまでの流れを説明します。
手順①発行の申請をする
損壊した住家の居住者か所有者が市区町村の役所の窓口で申請をします。
※代理人(本人やその同居親族以外)が申請する場合は委任状が必要になるので注意して下さい。中には不要な自治体もありますが、その場合は戸籍謄本や住民票など申請者との関係がわかる書類が必要になります。
この時に発行に必要な書類である、
- 罹災証明交付申請書
- 身分証明書
- 被害状況が確認できる写真
- その他に自治体で必要な書類
を提出します。
もし役所に行けない場合、必要書類と返信用封筒を同封して担当部署へ郵送します。
火災での被害は被災した場所を管轄する消防署へ行きますが、
これも自治体によって異なるので確認しておきましょう。
手順②現地調査
申請後に職員から電話がかかってきたら、調査の日時を決めて現地調査になります。
調査員が損壊した住家に訪問して外観の目視と傾き計測、申請者の希望があれば内部調査をする程度です。
▼現地調査が不要なケース▼
住家の損壊が軽微な場合、自己判定方式を行う自治体もあります。
自己判定方式とは写真による認定調査で、順番待ちの必要がなく短期間で罹災証明書の発行が可能になります。
自己判定方式の主な例として、
- 台風で雨どいが破損した
- 集中豪雨で床下に水が入った
などがあります。
自己判定方式の対応も自治体によって異なるので、申請前に確認しておきましょう。
手順③発行
発行可能となった場合、市区町村の担当職員から電話がかかってきて罹災証明書の発行という流れになります。
発行までに最低1週間、災害の規模が大きいと1か月~3か月かかる可能性もあります。
認定結果が納得できない場合は60日以内であれば再調査も可能になります。
必要であればこの時に罹災証明書の発行見込み時期を伝え、
罹災届出証明書の発行手続きもしましょう。
罹災証明書の有効期限
罹災証明書に明確な有効期限はございません。
ただし、火災保険の申請には明確な申請期限が存在します。
以下の記事をご参考下さい。
罹災証明書と現実の状況の差が大きいと虚偽報告と見なされ、
各種支援や保険金の請求ができなくなる可能性があります。
適正な支援を受ける為にも、罹災証明書は速やかに活用して下さい。
まとめ
今回は、
- 罹災証明書について
- 申請期限
- 発行に必要なもの
- 発行までの流れ
- 有効期限
について紹介しました。
住家が被災した場合、罹災証明書の発行を申請しないと支援が受けられず復旧が大変になります。
大変な時ですが、適切な支援を受ける為にも期限内に申請して罹災証明書を発行しましょう。
火災保険の申請に伴う詳しい内容はこちらをご参考下さい。